国会の議論から(5月29日衆議院経済産業委員会)
次は5月29日の衆議院経済産業委員会。
黄川田仁志委員は自民党所属。
参考人質疑で、アインゼル参考人とあるのは、ゾンデルホフ&アインゼル法律特許事務所代表弁理士のアインゼル・フェリックス=ラインハルトさんです。
○黄川田(仁)委員 ありがとうございました。
次に、アインゼル参考人にお聞きしたいと思います。
我が国を知財立国にするためには、海外からの優秀な研究者に日本で働いていただきたいなというふうに思っております。また、優秀な企業が海外進出を果たして、海外の研究者たちも知的財産権について争うことなくやってもらわなければいけないと考えております。
そこで、日本の特許法及び本改正の流れについて、国際的に見てどう評価するか、教えていただきたいと思います。
○アインゼル参考人 これは、非常に日本における移民政策ともいろいろかかわってくる問題なので、ここでこういうことを言うのが適当なのかどうかわからないですけれども、基本的には、やはり日本で今後労働力というものを考えたときに、多分二者択一だと思うんですよね。女性なのか、外国からの移民なのか、多分この二者択一しかないんですよ。でも、日本が単一民族だということを考えたときは、恐らく女性の方に行くだろう。だけれども、外国からの労働力というのも必要だと思うんですね。
そのときに、僕の一つの提案として、僕は今そういう活動を少しやらせていただいているんですけれども、もう既に日本にいる優秀な、例えば僕みたいに日本で生まれて育った外国人というのはいっぱいいるんですよ。その人たちというのは、社会に対して別に何の脅威も構成しているわけではなくて、そういう意味では、そういう人たちをどういうふうに積極的に、恐らく、僕なんかもそうなんですけれども、日本で外国の学校に行って、外国の大学に行って、日本に戻ってくる、だから、生活の本拠はこっちにあるわけですよ。そういう人たちをどれだけ技術者の中でもそれ以外の専門家の中でも登用できるかというのは、今後の課題だと僕は思います。
在留外国人支援に携わっている方のための「マイナンバー制度」(H27.4.16.ver.1.0)
来年1月から、マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)が施行され、マイナンバー制度が始まります。
行政の方、企業の方、など、マイナンバー制度への対応を検討しておられる方も多いと思います。ぼくもその一人で、内閣官房のマイナンバー制度に関するサイトを見ながら、不明な点を調べているところです。
調べているうちに、外国人にとって、マイナンバー制度の施行はどういう影響をもたらすか、についても考えるようになりました。
ここで書くことは、マイナンバー制度について、ぼくなりに調べてまとめたものです。
ですから、公式見解でもなく、間違いがないとも言い切れません(できるだけ精査しますが。)。
もし間違っているところがあれば、コメントをくださいますと幸いです。
【在留外国人支援に携わっている方のための「マイナンバー制度」】(H27.4.16.ver.1.0)
マイナンバー=住民票を有する全ての人に与えられる12桁(数字のみ)の個人番号である。
一般にはマイナンバー、マイナンバー、といっているが、法律的には「個人番号」である。
※ これまでも「住民票コード」というものが存在したが、これは、11桁である。マイナンバー法施行後も「住民票コード」は残るようであるが、これまで市役所などで発行されていた「住基カード」は、平成28年1月以降の新規発行は行われないとのことである。(以下アドレスのQ3−7参照)
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/faq/faq3.html
※ 「在留カードの番号」も12桁だが、ローマ字4文字+8桁の数字で表されている。
住民票の写しには、「住民票コード」、「マイナンバー(個人番号)」、「在留カードの番号」の3つが記載されることになるようである(マイナンバー法施行後の住民基本台帳法第7条及び第30条の45)。
後で触れるが、会社づとめをする場合、会社が税務署やハローワーク等に出す書類に記載するため、会社からマイナンバーを知らせるよう求められる。このときに、間違えて「在留カードの番号」を知らせないようにすることが大事と思われる。(会社も「数字だけで12桁の番号」とか指定するんだろうな。)
住民票を有する全ての人に与えられる。
外国籍の人でも、中長期在留者、特別永住者などで住民票がある場合には、マイナンバーが与えられる。
ちなみに、「中長期在留者」とは、
http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact_1/index.html
によれば、
a 「3月」以下の在留期間が決定された人
b 「短期滞在」の在留資格が決定された人
c 「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人
d aからcの外国人に準じるものとして法務省令で定める人
e 特別永住者
f 在留資格を有しない人
に「当てはまらない人」であり、例えば技能実習生や留学生にもマイナンバーは与えられる。
今年(平成27年)10月以降、市区町村から、住民票の住所に、マイナンバーの「通知カード」が送られることになっている。
様式は既に決まっている。(以下アドレスの40枚目)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000327387.pdf
マイナンバー(個人番号)、氏名、住所、生年月日、性別、発行日、住所地市町村長名が記載されることになっている。
(住基カードと並びで考えるんだろうけれども、たぶん、外国人向けには氏名(name)みたいに英語とかのルビをつけることが必要だろうな。ちなみに、必要があるときは所要の変更又は調整を加えることができることとされているので、その辺は市区町村で工夫をしたらいいものと思われる。こういうところで、外国人が集住している地域のネットワークを巧く活用するといいんですよ、たぶん。)
(しかしこれ、宛先尋ね当たらずで戻ってきたら、市区町村、どうするんだろうねえ?)
※ マイナンバー制度についての解説の中には、「通知カード」のほかに、「個人番号カード」という言葉が出てくるが、これは別々のものである。
「個人番号カード」は、平成28年1月(マイナンバー法施行)以降に、「本人からの申請」により市区町村が交付するものである。
「通知カード」は、市区町村が、今年の10月以降に、勝手に送ってくるものである。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000327387.pdf
の41枚目に「個人番号カード」の様式が示されているが、写真とかも入っていて、身分証明書に使えるようになっている。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/faq/faq3.html
のQ3ー2とかQ3−3とかによれば、図書館カードとか印鑑登録証とかにも利用されることを想定しているみたい。
(個人的に、図書館カードに使われるのは嫌だな。)
4.マイナンバーを受け取った人は、どんなときに活用しなければいけないのか。
たくさんある。
(1)税務関係の申告書、申請書、届出書、調書とかには、マイナンバーを記載しなければならないことになる。
例えば、会社勤めで給料をもらっている場合、会社が税金(所得税、住民税等)を差し引いて給料をくれているはず。会社は、税金を差し引いたときには、「法定調書」というのを作成して税務署に提出したり、地方税については「支払報告書」というのを市町村に提出したりしている。
税務署に提出する「法定調書」ってなあに?という方は、
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/mokuji.htm
を参照いただきたいが、どこかで講演とかをしてお金をもらったりする場合にも、支払者は「法定調書」というのを出すことになっている。
で、その「法定調書」について、平成28年1月1日以降の金銭等の支払等に係る「法定調書」から、申告書類にマイナンバーを記載しなければならないことになっている。(以下リンク参照)
https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/mynumberinfo/bangoukisaijiki.htm
繰り返すが、「法定調書」を出すのは企業とかの「お金を支払っている」人なので、給料とか講演報酬とかをもらうときには、「税務署とかに出す書類に書く必要があるから、マイナンバーを知らせて下さいね。」というお願いが来ることになる。
先にも触れたけれども、ここで間違えて「在留カードの番号」とかを出してしまうと、事務担当の人が混乱してしまうので、「数字12桁のマイナンバー」をきちんと出す必要がある。
ちなみに、企業などが、マイナンバーをどこに書けばいいか、については、
https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/mynumberinfo/jizenjyoho/hotei.htm
に様式の案が示されている(まだ確定していない。)ので、参照して下さい。
(2)雇い主がハローワークに提出する雇用保険関係の届書に、マイナンバーを記載する必要がある。
具体的には、人を雇ったときに「この人は雇用保険の被保険者になりましたよ」という届出である「雇用保険被保険者資格取得届」とか、人が退職したときに、「この人は雇わなくなったので雇用保険の被保険者から外れますよ」という届出である「雇用保険被保険者資格喪失届」とかである。
具体的にこういうときにマイナンバーを書かなければいけませんよ、というのは、
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000081493.pdf
に新しい様式の案が示されているので、参照いただきたいが、「教育訓練給付金支給申請書」とか「高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付申請書」とか「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」とか「介護休業給付金支給申請書」とかにもマイナンバーが必要とされているので、新たに採用される人や辞める人だけでなく、例えば育児休業中だけど雇用保険から育児休業給付でお金をもらっているような人も、企業から「マイナンバーを教えて下さい。」というお願いが来ることになる。
これは、平成28年1月1日以降の提出分から適用されることになっている。
(3)同じく雇用関係だけれども、雇い主が健康保険組合や日本年金機構に提出する健康保険や厚生年金保険関係の届書にも、マイナンバーを記載する必要がある。
具体的には、人を雇うと「この人は健康保険と厚生年金保険の被保険者になりましたよ」という届出である「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を出す必要があるし、人が退職したときには「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を出す必要がある。
具体的にこういうときにマイナンバーを書かなければいけませんよ、というのは、
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000070084.pdf
に新しい様式の案が示されているので、参照いただきたい。(どうもこれだけじゃないっぽい。精査します。)
毎年7月に提出することになっている「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届」とか、給料の額が変わったときとかに出す「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届」とかもある。
また、「健康保険被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者関係届」のように、配偶者などの被扶養者のマイナンバーも企業から求められることになるので、注意が必要だと思われる。
なお、健康保険や厚生年金保険関係の届書については、雇用保険と違って、平成29年1月1日以降の提出分から適用されることになっている。
ただ、「国民健康保険組合」については、雇用保険と同じで平成28年1月1日以降の提出分から適用されるらしい。「国民健康保険組合」とは、医師とか歯科医師とか薬剤師とかで構成される国民健康保険の組合みたい(以下アドレスのところを読んだ。)
http://www.kokuhokyo.or.jp/
だが、今の自分にはよくわからない。精査します。
(4)このほか、社会保障関係はいろいろあるが、まだ細かい様式が決まっていないものがある。
例えば、児童手当。
新たに児童手当を申請するときには、「児童手当認定請求書」を市区町村に出す必要があるが、これにもマイナンバーを書き込む(請求人だから親ですね。)必要がある。
生活保護の申請、身体障害者手帳の交付申請、特別障害者手当の申請、里親の認定申請、保育所の入所申込み、国民健康保険の資格取得届、要介護認定の申請、等々。
具体的な手続を知りたい場合は、厚生労働省が地方公共団体向けに出している、
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000079022.pdf
の33枚目からを参照するとよいと思う。
(5)災害対策にもマイナンバーが必要になってくる。
「被災者生活再建支援金」という制度があるが、これの申請にもマイナンバーを記入する必要がある。
市区町村が被災者台帳をつくるときに、マイナンバーを活用することも考えられているようである。
5.マイナンバーを活用するときの注意点
公的セクターも民間もそうだが、人からマイナンバーの書かれた書類を受け取るとき(マイナンバーを取得するとき)は、なりすましを防止するために、厳格な本人確認を行う必要があるものとされている。
具体的には、「正しい番号であることの確認(番号確認)」と、「番号の正しい持ち主であるかどうかの確認(身元確認)」を行う必要がある。
このため、マイナンバーを書いた書類を提出する場合には、これまでより追加で書類を添付する必要が出てくる場合がある。
例えば、これまでは本人確認のために住民票を添付していた場合、今後は、マイナンバーつき住民票と、その中身が正しいことがわかる書類、例えば運転免許証とかパスポートの写しを添付する必要がある。
もっとも、1月以降に本人の申請によって市区町村が発行する「個人番号カード」を入手してしまえば、それのコピーの添付で足りる。
具体的にどんな書類が必要になるかは、
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/faq/faq4.html#q4-3-1
のQ4−3−1のところ。また、
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/faq/pdf/q4-3-1.pdf
を参照して下さい。
6.マイナンバー制度を勉強するのに、何を読めばいいか。
まずは、内閣官房のマイナンバー制度のホームページを紹介したい。ただ、いろんなことが盛りだくさん詰まっていて、ピンポイントでたどり着くのはむずかしいように思う。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/
ぼくがよく読んでいるのは、民間事業者向けの資料。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/pdf/j_koho_h2702.pdf
雇用保険や健康保険がらみ、そして税については、ここで大体把握した。
多言語訳だと、英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語のサイトがある。
英語
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/english.html
中国語(繁体字)
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/chinese-hantaiji.html
中国語(簡体字)
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/chinese-kantaiji.html
韓国語
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/korean.html
ポルトガル語
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/portuguese.html
スペイン語
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/spanish.html
また、コールセンターもそれぞれの言葉に対応するようになっている。
番号は、0570−20−0291
である。
以 上
リブロ池袋本店が6月いっぱいで閉店するそうです。
リブロ池袋本店が6月いっぱいで閉店するそうです。
毎日新聞の記事へのリンクを張ります。
リブロ池袋:6月閉店…セゾン文化体現、ニューアカの聖地
http://mainichi.jp/select/news/20150304k0000m040157000c.html
西武との契約満了に伴い契約終了、更新が認められなかった、ということのようです。
リブロが日販の子会社で、西武の親会社のセブン&アイホールディングスの鈴木敏文さんがトーハンの出身だから、とかいろいろささやかれているようです。
まあ、直感的には、池袋西武の上にも小さい店ですけど三省堂が入っておりまして、だぶっている感じがするので、まとめる、ということじゃないかと思います。だから、今のリブロの所には三省堂が入るんじゃないですかね・・・・。今の三省堂は狭いし。
だから、そんなに困らないんじゃないか、というのが今の感想。
ぼくの場合は、リブロもジュンク堂もよく眺めに行きます。ただ、フロアのまわり方はかなり違います。
【ジュンク堂の場合】
一言で言えば、「自分の興味ある分野の新刊をざっくりとチェックしに行く。網羅的に把握する。」
9階建てのビルの中に全部入っているので、まず1階のレジ前に並んでいる平積みとかの本を眺めながら、エレベーターを9階まで上る。
音楽本を眺め、歌舞伎、能、狂言のコーナーを眺めて、裏の演劇本も眺める。
エスカレーターで5階まで降りる。ビジネス本、法律、経済本のコーナー。
5階では、まず下りエスカレーターの降り口のところの平積みをざっくり眺める。そのあと、入管、戸籍のコーナーを眺め、そのまま壁伝いに貧困とか労働、職業能力開発の棚を眺めて、政治棚へ。人権棚とかを覗いた後、労働法の棚をざっくり眺める。
次は3階へ。ここは文芸と文庫・新書本。
ここも下りエスカレーターの降り口のところの平積みをざっくり眺める。文芸の棚は山口瞳さんと丸谷才一さんの新刊がないか確認。そのあと、講談社文芸文庫、講談社学術文庫、ちくま文庫の平積みを眺めて、島のようになっている文庫・新書の新刊スペースを一周。
これに加えて、時間があれば、8階の日本語教育コーナー、2階の鉄道、将棋、料理のコーナーを眺めるくらい。
【リブロ池袋本店の場合】
リブロの場合は、書籍館(社会科学、芸術、将棋、料理)、雑誌のスペース、文庫・新書・文芸・ビジネス書のスペースが離れているので、ピンポイントで行くことが多い。
一番便利だと思っているのは、池袋西武からまっすぐ通路を行った突き当たりにある、文庫・新書・文芸・ビジネス書のスペースの入り口にある、各ジャンルの新刊だけを並べているコーナー。
ここで、これまで自分がほとんど興味がない分野も含めて、こんな新刊が出てるんだ、と確認する。
そのあと、文庫の島(2つある。)と文芸の島をざらっと一周。
ジュンク堂に比べると、文芸の平積みは充実していて、買いやすい。文庫本は、新刊は買いやすいけど、例えば講談社文芸文庫とか学術文庫なんかは、平積みに入っていないので役に立たない。法律本は品揃えが薄く、ビジネス本もジュンク堂に比べても薄い。ビジネス書は丸の内の丸善が一番充実してます、当たり前だけど。
雑誌は、目の眼なんかはジュンク堂にしか置いてないから、ジュンク堂で買います。時刻表と演劇界はリブロで買うことが多いような気がするけど特に理由はない。
一番ぼくにとって大事なものは音楽本と芝居の本なんだけど、情報はジュンク堂で仕入れることが多い。買うか、と言われると、買うのは、hontoで頼むことが圧倒的に多い。
結局、hontoだと、1割分のポイントをつけてくれるから、リアルの本屋さんで見つけた本の名前のキーを覚えて、家で検索して注文することが多い。例えば瀬戸内寂聴さんの本で気になるものがあれば「寂聴」と覚えて帰って、家で、まずamazonを検索して電子書籍がないか調べた上、hontoを検索して注文する。
まあ、それではリアルの本屋が流行らなくなるのは重々承知しているのだが、でも、もうちょっと割引してくれないかなあ、と思うことがある。
このやり方で困るのは、本屋から帰ってくる最中に本の名前のキーを忘れてしまうこと。
リアル本屋としては、素人考えだけれども、サイン会みたいなのを多くして、その本屋ならではの付加価値をつけて売れるようにすること、思わぬ気づきが出来る本を集めて、「ここで買わなければネットでも買えないかも」と思わせること、がたぶん大事なんだろうな、と思う。
今回、リブロについては、「セゾン文化の聖地」とか書かれているけれども、まあ最近は、普通の本屋とそんなに変わりはないと思うけどな。
ぼくが大学生の頃、もう20年くらい前になるけれども、その頃は、今の雑誌のスペースにアールヴィバンだったかlogosだったか忘れたけど、芸術関連の本が集められているコーナーがあった。「松緑芸話」の文庫版なんかが表紙を見せた形で棚に並んだりしていて、「こんな芝居の本もあるのか」と驚くことが多かった。贅沢な棚の作り方だったんでしょうね・・・・。
新宿の紀伊國屋書店本店、南店も、新宿に行くときは覗くけど、通路が狭いんだよな・・・。どちらかといえば、南店の芸術本の品揃えは好きかな。あそこの場合は、伝統芸能というより、演劇本が充実していると思う。
そんな中、この前、久しぶりに足を運んで、驚いた本屋があった。
六本木の青山ブックセンター・・・・。
ここ、昔は深夜営業もやっていて、金曜日に仕事が遅くなった時とか、入り口入って左の階段をとんとんと上って行って中二階のところに並んでいる音楽の本とかをみるのが好きだった。なんか、脳の回転数がターボエンジンがかかったように上がるような気がした。
ここは、「今平積みで並んでいるのをつかんでおかないと、他の本屋だったら取り寄せになってしまうんじゃないか」という危機感を感じる本が多くって、よく買いました。
そんな昔に比べたら、abcは一度潰れたし、深夜営業はやってないみたいなので、全然ダメです。
ダメなのだけれども、やっぱり面白い。
「吉兆」の料理の写真集が平積みで置かれていたりする。
「世界の名物、日本料理「吉兆」の世界 湯木貞一の「おもてなし」の心 その極み」
世界文化社刊
http://www.amazon.co.jp/dp/4418159002
有元葉子さんの「晩酌」という写真中心の本が、平積みで置かれていたりする。
http://www.amazon.co.jp/dp/4487808715
なんか、「晩酌」としか書かれていない表紙だけで、なんかお酒が進みそうな気がするじゃないですか。
芸術本はダメになったなあ、と思いながらも、でもやっぱり違うなあ、と思わされました。
まあ、土地土地で売れる本が違うので、並べ方が違います。日本橋の丸善だとまた違うし、銀座だとコアの上のブックファーストに行くことが多いけど、それぞれ気づきがある。神保町はあまり行かないけど、書泉グランデの鉄道本コーナーはやっぱり刺激が多いし、なんといってもあそこは聖地である。(なにせ旅客営業規則とか立ち読みできるからね。)
土地土地の本屋で、ざらっと眺めながら、自分の触角を働かせていく、そんな生活は、たとえリブロが三省堂になったとしても、続いていくのではないかと思います。
長くなりました。
大和屋のこと。
(2月23日0時37分に書いた記事を転載します。)
十代目坂東三津五郎丈が亡くなった。満で59歳。
前の日記を読み返したら、三津五郎さんと書いているものもあれば、屋号である大和屋と書いてあるものもある。大和屋だと玉三郎さんなんかも入るのだけれども、ニュースを見て、「大和屋が死んだんだ」と思ったので、大和屋で統一することにする。
正直、驚いて、涙も出ない。絶句するばかり。
さっき、Mr.サンデーを観たら、「靭猿」と「蘭平物狂」の写真が出ていた。新聞だと「喜撰」とか最後の舞台である「たぬき」とかの写真が載っている。
8月の歌舞伎座に出て、また養生する、ということだったので、とにかく大事な身体なので養生してください、と思っていた。
秋に東京会館で芸談をやるというのが流れたと聞き、12月のこまつ座の「芭蕉通風船」の休演の話が出ても、「まあ養生してください。」という気持ちだった。
1月に放送された「ザ・ノンフィクション」では、浅草歌舞伎に出る子供の巳之助さんや種之助さんとかに指導していて、巳之助さんが「お父さん」と叫んだからどうのこうの、という話があって、ああ元気なんだ、4月の鴈治郎襲名で復帰かな、とか思っていたところでした。
4月の鴈治郎襲名は「喜撰」を含む「六歌仙」の通しが出るのだけれども、菊五郎さんが「喜撰」をやると聞いて、少し驚いた。今考えれば、三津五郎復帰狂言にする予定がダメになって、菊五郎さんに差し替えたのかもしれない。わからないけど。
とにかく、よく今の状況が理解できてない。
中村屋(勘三郎丈)のときは、週刊誌で重態説が流れていたし、成田屋(團十郎丈)のときは、もともと白血病だったのが風邪をひいて休演ということで、回復は奇跡に近いという話も耳にしていたので、なんとなく心の準備をしていたような気がする。
でも、今回は、本当に急だった。
「痛い」というのが感想かな。
今はどうかわからないけど、三津五郎さんは、親の9代目三津五郎さんとともに菊五郎劇団という劇団に属していたから、江戸前の芝居をかなり受け継いでいる。特に、踊りの名人でもあり、世話物の名人でもあった、二代目松緑、住んでいたところに由来する「紀尾井町」の芝居のやり方を教わっている一番若い世代が、三津五郎さんの世代になる。
だから、一昨年やった「髪結新三」も中村屋のやり方じゃなくて紀尾井町に教わったやり方でやる、と言っていたし、「魚屋宗五郎」なんかもそうだろう。「蘭平物狂」は松緑さんの息子の辰之助さんから受け継いで今の松緑に渡したものだけれども。
その辺の、紀尾井町譲りの芝居のやり方が、切れてしまうのが痛い。
踊りについては、中村屋とともに、今の染五郎さんとかの世代に対して、「踊りの素養が役者にとって大事だ」ということをわからせたことが大きいと思う。
正直、勘三郎三津五郎の上の世代、菊五郎幸四郎吉右衛門團十郎梅玉仁左衛門玉三郎、の世代は、そんなに無茶苦茶踊りが巧いというわけではない。富十郎は巧かったけど、役者として評判が高まったのはかなり遅かった。
そんな中、勘三郎三津五郎は巧かった。何よりきびきびとしていた。
染五郎さんとかの、今売り出し中の役者たちは、踊りもそこそこ巧い。鏡獅子をやればいい、ってもんじゃないけれども、鏡獅子なんかもそれなりの水準ではあると思う。三社祭しかり。
勘三郎三津五郎、昔で言えば勘九郎八十助は、今考えればよかったんだね。
三津五郎襲名の時の「団子売」、8月にやった「六歌仙」の通しで三津五郎の「喜撰」に勘三郎の「祇園のお梶」。もちろん「棒しばり」もよかったし、芝居で言えば、「野田版研辰の討たれ」とか「鼠小僧」とか「らくだ」もよかった。
8月の花形歌舞伎は、どうしても勘三郎人気で、勘三郎勘三郎になってしまうのだけれども、「いやいや勘三郎だけじゃなくて三津五郎というしっかりとした役者もいるんですよ」という気分で観ていたような気がする。
彼らは伝説になってしまうのだろうか。なんか嫌だな。
ちょっと安心なのは、映像がそこそこ残っていること。シネマ歌舞伎で結構録ってある。あと、長谷部浩さんとのコンビで「歌舞伎の愉しみ」「踊りの愉しみ」という、なかなかよい著書ができていること。両方とも勉強になりました。
それにしても、巳之助さんがどうなるのかは気になっています。
今日、曽我の石段に朝比奈で出ていて、声も出ているし足の踏み方もいいので、だんだんいい役者になってきたなあ、と思って見ていたところでした。今考えれば大変な状況の中で演っていたんだなあ。
もともと、三津五郎さんが離婚して巳之助さんは寿ひずるさんのほうで育った時期が長かったみたいだから、後継ぎになるのにはいろいろ葛藤があったとか聞きました。だから、遅咲きです。
菊五郎劇団にお世話になるのだろうから、しっかりと教えてもらえるとは思うけれども、踊りの坂東流の仕事もあるし、しばらく大変だろうな。
でも、だんだんいい役者になってきていると思う。来月は松也さんたちと南座だね。
応援しています。
福助さんも長期療養中だし、今の50代がなかなか厳しい状況になっています。
40前後の人たちがが台頭してきているから、ひょっとすると中抜きになってしまうかも。特に橋之助さんにはがんばってほしい。
まあ、でも、歌舞伎の世界はなくならないし、人気役者が2人3人亡くなったって、ほろびはしません。そこだけは自信を持っています。
謹んでご冥福をお祈りするとともに、これまでいい舞台を見せていただいてありがとうございました、と御礼申し上げます。