国会の議論から(平成28年2月23日衆議院財政金融委員会)

久しぶりに時間がありますから、国会会議録検索をやってみましょう。

平成28年2月23日衆議院財政金融委員会
民主・維新・無所属クラブの木内孝胤議員と麻生財務大臣のやりとり。そして、自由民主党の國場幸之助議員と広瀬直政府参考人内閣官房日本経済再生総合事務局次長)のやりとりから。

○木内(孝)委員 (中略)
 続きまして、次の質問に移りたいと思います。潜在成長率の推移と向上に向けてお伺いをしたいと思います。
 一枚物の資料を用意させていただいておるんですが、潜在成長率が一九八〇年代は四%とか五%であったところ、直近は〇・四、五、震災の影響で一にふえたりゼロだったりというような表がございます。
 午前中も玉木委員から潜在成長率の動きについての質問がありましたが、一つ、この潜在成長率を短期的に上げる即効性のあるものとして、もちろん、生産性を上げるというのは我々が目指すべき方向性で、それは今既にやろうという努力はしているというふうに思っています。
 一つ、これはいろいろ議論もあろうかと思いますし、当然反対意見もあるかもしれない政策だと思っていますので、私は麻生大臣の考え方を教えていただきたいんです。
 外国人労働者にもいろいろな形の職種もあろうかと思いますが、これを例えば年間三十万人程度受け入れること、期間を例えば五年間にすること。これは、移民と難民、外国人労働者、いろいろあるかもしれませんけれども、あくまでも、外国人労働者を期間限定で年間三十万人程度受け入れるということに関していかがお考えでしょうか。

○麻生国務大臣 難民、移民、今、多分ヨーロッパ最大の問題は金融じゃありません。間違いなく難民問題ですよ、現実問題として。そういったものが、現実として今我々は、ヨーロッパで遠いから見えていませんけれども、似たようなことがもしアジアで起きたら、大量な難民を日本に受け入れてくるときにどうするかということもきちんと考えておかないと、この話はうかつに、今の話で平和なときに考えるというようなのは、そういった意味では危機対応という経験が全くありませんから、難民は武装している可能性も覚悟しておかないかぬ。
 その武装難民に対してどうするかというふうなことも考えた上でこの種の話を進めないと、平和なときに平和なことしか知らない人たちが考えると危ないことになりかねぬというのを頭に入れた上で、私どもは、外国人などの受け入れにつきましては、これまでもいろいろな形で受け入れてきているのは事実でありますので、一定の海外の人材を受け入れてきているのは確かですので、ラグビーでいえば五郎丸ばかり有名になっていますけれども、実際問題、五郎丸以上に活躍した外国生まれの日本籍の人もいっぱいあの中にいらっしゃるというのが現実ですから、サッカーよりよほどラグビーの方がインターナショナルにやっている、私はあれを見てそう思いました。
 ぜひそういった意味で、必要な分野にきちんと着目した上で、モンゴル人しか勝たないから相撲がおもしろくないとかつまらないことを言わないで、活躍できる人が大いに活躍できるというのはいいことだ、私どもは基本的にはそう思っております。

○木内(孝)委員 私もヨーロッパに十年以上住んでいましたので、こうした移民政策とかに関しては物すごく慎重な立場でございます。一方で、私は、外国人労働者を受け入れる政策に関しては非常に積極的な立場です。
 今、移民政策と外国人労働者受け入れ政策といろいろと混同されがちでございますが、私は、ぜひそこの議論を整理して、外国人労働者、専門職であったりとかいろいろな職種というのは考えられますけれども、数千人とかそういうことではなくて、十万、二十万人単位での受け入れというのも、国力を考えた場合、シンガポールみたいに、三百五十万人シンガポール人がいて移民が百八十万人とかそういうことを私は申し上げているわけではございませんが、労働力人口が減る程度の外国人労働者の受け入れというのをぜひお願いしたい、そのように思っております。

(中略)

○國場委員 日本経済が名目三%、実質二%という経済成長実績を最後に達成したのは平成三年、今から約二十五年前です。ちなみに、次年度の税収は五十七・六兆円と、こちらもまた二十五年ぶりの高水準を達成しております。
 今回の成長目標を達成するためには、先ほど来議論にありますけれども、潜在成長率を高めることが必須であると思います。ちなみに、日本銀行の潜在成長率推計は今わずかに〇・二三%しかありません。内閣府は〇・四%と見積もっております。民需主導の成長戦略や、午前中の質疑にもありましたように、生産性の向上など課題は山積しておりますけれども、有効求人倍率や失業率など、雇用に関する統計は大幅に改善しております。
 それであるがゆえに、その一方で、地元を歩いて最も切実な訴えの一つとして聞こえてきますのが、求人しても人が集まらない、人手不足であるという声であります。
 今、お手元の方に、OECD諸国の高齢化率、若年年齢率のリストをお配りしておりますけれども、この中で、日本という国は顕著な人口構造になっておりますが、OECDの三十四カ国のうち、六十五歳以上の人口比率が二五%を超えている国は日本しかありません。その一方で、十五歳未満の人口比率が一二%台しかいない国というものも、日本とドイツしか今は存在しておりません。
 ドイツの方は、先ほど木内委員も質疑に立っておりましたけれども、人口約八千万人のうち、一二・八%から約二〇%は外国人や移民の出身で、その中でも、保護申請者の約五割は十八歳から三十四歳と、若い外国人を受け入れることにより人手不足に対応しております。ちなみに、日本の方は在留外国人が一・七%と、世界百九十五カ国のうち百五十一位と異様に低い実情でございます。私は、安易な移民や外国人の受け入れには慎重であるべきだと考えております。
 その上での質問ですが、労働力不足が日本経済の成長に与える影響と、今後どのように経済の担い手不足に対応し、潜在成長率の向上に資していくのかを示してください。

○広瀬政府参考人 お答え申し上げます。
 委員から御指摘ございました、人口減少社会のもとで持続的な成長を実現していく上で、供給面での制約、これを打破するためには、まさに企業や個人の潜在力を最大限発揮させるような生産性革命、これを実現することが非常に重要だというふうに思ってございます。
 こうした生産性の向上を図るためにまさに最大の鍵は、民間投資の拡大と活性化というふうに考えてございます。設備、技術、人材、そういった投資など、質と量を兼ね備えた前向きな投資の拡大を図りますとともに、イノベーションの創出によりまして付加価値の向上を図ることが重要だというふうに考えてございます。
 そうした観点から、成長戦略のもとで、企業の稼ぐ力を向上させるためのコーポレートガバナンスの強化、あるいは法人税改革、また、IoT、人工知能、ロボットといった先端融合分野での投資を促進する研究開発支援とか規制・制度改革、あるいは、人材面で申しますと、大学のイノベーション創出力を強化するための大学改革とか、あるいは、サイバーセキュリティー対策の徹底、IT利活用の推進、さらには、女性、高齢者、高度外国人、こうした人材の活用の促進とか、あるいは、生産性の向上に寄与する働き方改革、さらには、農業、医療、エネルギー、こういった分野での岩盤規制改革、こういった取り組みを進めているところでございます。
 今後、こうした成長戦略に盛り込まれました取り組み、これを着実に進めていきますとともに、成長戦略をさらに進化させまして、潜在成長率の向上を図っていきたいと考えております。